東日本大震災五年 チャリティーライブ開いた 朝鮮大学校音楽科同期生
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インタビューを終えて
金淑子・「記録する会」
四月の最終週、仕事の後に渋谷のカフェに集まってもらって話を聞いた。インタビューをお願いしようと思ったのは、震災から五年目に横浜で行われた復興支援ライブがきっかけだった。ガラス張りのこじんまりした会場で、お酒を飲みながらウリノレを楽しんだのは初めての経験だった。自分たちの思いをウリマルで、民族楽器で表現する舞台の彼らがまぶしかった。音楽で話しかける出演者と、一緒にリズムを打ち、呼吸をする会場いっぱいの観客が温かかった。笑い、涙し、心弾ませ、あっという間の時間だったが、優しい余韻がいつまでも残った。
あの優しさや、思いやりはどこから来るのだろうか?インタビューしてまず考えたのは、ウリナラとの心の距離だった。感受性が強い十代の時期に何度もウリナラを訪ねた彼らにとって、ウリナラはマスコミによって作り上げられた「核の国」「独裁国家」という「イメージ」ではなく、指導してくれた先生や生活の世話をしてくれた宿所や食堂の人々であり、泣いたり笑ったり、驚いたりして仲間たちと過ごした日々なのだろう。日本で、ウリナラをめぐる報道は、たいてい在日朝鮮人の生活を脅かす。自分の生活に不利益をもたらすウリナラを日本人以上に蔑み、嫌う在日朝鮮人をよく見る。一方「ウリナラが大好きです!」と言い切る彼らには、報道が流す「イメージ」を払しょくできる知識と体験がある。自分を肯定できる力があるから、周りにも肯定的に対応できるのではないだろうか。
もう一つは、音楽の力である。彼らの曲「オンジェ オディソナ」には、同胞社会の温かさが詰まっていた。日本各地に住む、この曲を聞いた多くの同胞たちが「ハンマウム(一つの心)」になって、被災した同胞を思ったのではないだろうか?遠く離れた人たちの心を瞬時につなぐ音楽の力を改めて実感した。職業ではないからと現状維持に甘んじることなく、たゆまなく精進する彼らの今度の活躍を心から祈った。37
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