会って、話して、理解しあえる社会を目指して
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東アジアの知識はつり広告や新聞見出し程度?!
金三百数十人を対象に一つの教室で授業をしているんですか?
こうのすけはい、大教室でやっています。去年は何と千七百人くらいの登録があったので、教室からあふれてしまって、三つの教室にわけてもらいましたが、クラブ活動やアルバイトの都合で履修中止した学生が五百人ほど出ました。それでも千二百人くらいを三クラスでやっていましたから、一クラス四百人くらいでした。
今回の講義では、沖縄であった米軍軍属による強姦未遂殺人遺体遺棄事件も扱ったんですが、予想もしない反発がありました。
「米軍に対するヘイトスピーチだ、米軍にもいい人はいる」「日本はアメリカによって守られているのに、そんなこと言っていいのか」等々。「日本はアメリカに守られていて、中国・朝鮮が怖い、何してくるかわからない」という理解なんです。軍事合同演習などの例を挙げて、アメリカと韓国と日本が朝鮮を挑発しているんだといっても「そんなはずがない」と。
金ベースにしっかりと敷かれているという感じですか?
こうのすけ敷かれていますね。電車のつり広告や新聞の見出しぐらいの知識で、スマホを手にしていてもそれで検索することはまずない。意外なのが、ネットで2チャンネルも見ていないことです。以前なら「小林よしのり先生がこう言っていたけど、お前の言ってることとは全然違う、お前の発言はおかしい」と、反発する学生もいたんですが、今は何も知らないで言っている。ただただ朝鮮・韓国・中国に対する嫌悪感が根強くある。「北朝鮮=ありがたくない存在」「朝鮮学校=反日、日本に不満を持っている人たち」「慰安婦=いつまでも昔のことをぐちゃぐちゃ言っている人たち、金目当て、元売春婦」という図式があるので、丁寧に言っていかないとそれが解けないんですね。
金そういう考えが圧倒的ですか?
こうのすけそんなことは学校ではこれまで習わなかったというのが圧倒的ですね。高校までで習ったし、ゼミでもやっているなんて学生はごく少数です。大変な問題だと思います。
同志社にも朝鮮高級学校の卒業生が指定校推薦で入ってきますが、かれらはよくわかっていますね。授業の初めにコメントカードの紹介という形でフィードバックするときには利用させてもらっている。僕が言っても「またあいつ、あんなこと言っている」となるけど、同世代の在日朝鮮人の学生がこう言っていると紹介すると、「そうなんだ」というふうに受け取る。
金日本の大学に通っている朝鮮学校の卒業生はいいエッセンスになっている?
こうのすけものすごく貴重です。同志社の場合はコリア文化研究会があり、大学が予算化して二十五年以上続く「日朝関係史講座」という、全国の大学でも珍しい連続講座があります。何人か知っている学生に講座の宣伝かねて、「朝鮮学校で学んだこと」「なぜこの大学で学ぶことになったのか」などについて話してもらうんですが非常に好評です。僕が言う何倍も受け入れてくれる。「しっかりしている」「よくそこまで考えているな」「自分はそんなこと思ったこともない」などと。大人数でも個々の声を拾っていく、コメントカードの紹介が大変好評です。「いろんな考えの人がいるんだ」「同じ講義聞いていても正反対のことをいう人がいて面白い」とか。
金カード紹介とは?
こうのすけ講義を始めるときに出欠をとるのを兼ねてカードを配っておくんです。学生は講義中に書いて、講義が終わると提出していくという形を毎回とっています。授業のコメントや批判が書いてあって、一生懸命読んでいくつかピックアップして、紹介して、コメントを加えます。ラジオDJみたいに、毎回三〇人分くらい読みます。紹介したいのがいっぱいで、いつも時間が足りません。
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